興信所とはどういうものなのか
興信所本来の役割は企業の信用調査を行うことですが、現在は探偵と同じ扱いになり、多くの興信所が浮気調査などを主な業務にしています。
探偵事務所に比べると知名度が低く、ドラマや小説好きの人でないと馴染みのない職種になりますが、元々は探偵よりも上位の位置付けをされていました。
また、興信所の需要が高かった時期は戦前になるため、「興信所」の看板を出している所は歴史のある老舗の可能性が高いです。
興信所に興味を持っている方に向けて、興信所の業務内容や料金相場、探偵との違いなど気になる情報を徹底解説いたします。
興信所の成り立ち・歴史
日本初の興信所と呼ばれているのが1892年に設立された商業興信所です。
創業者は日本銀行の大阪支社長および理事の外山脩造氏で、金融機関が企業へ融資をする際の信用調査拡大を見込んで立ち上げたものでした。
当初の興信所は、現在で言う信用情報機関と保証会社の特徴を併せ持った審査代行業者のような存在で、調査対象は法人に限定されていました。
また、現在は企業情報を扱う大手情報機関である帝国データバンクも、もともとは興信所として創業した経緯を持ちます。
1900年前後から活動をはじめた帝国興信社は、主に企業関連の情報を雑誌に掲載し、主な収入は広告料によるものでした。
帝国興信社の場合は週刊誌に近い存在で、登記情報などを見ても分からない企業情報を発信するメディアという位置付けです。
このように、当初の興信所は様々な形がありましたが、共通しているのは企業(法人)の信用調査を行っている点でしょう。
調査内容は、登記簿謄本・決算書のチェックをするほか、実際に調査先の企業へ訪問して面談をすることもあります。
隠れて調査をするものではなく、当時の銀行融資は興信所の調査に協力することが必須条件になっていました。
なお、探偵事務所については興信所より古い1895年から始まった歴史があり、当時は個人への調査は探偵、企業・法人の調査は興信所を利用する棲み分けが行われていました。
興信所が探偵化した理由
戦後(1945年以降)になると、帝国興信社が個別調査ではなく大企業のデータをまとめる帝国データバンクに路線変更し、俗に言う信用情報機関のような存在になりました。
莫大なデータを保有する大手の登場によって、企業の信用調査を行う需要は個別調査ではなく大手信用情報機関の情報照会がメインへと変化していきます。
そして、企業の信用調査を行う需要を失った中小規模の興信所は、以下3つのスタイルへ枝分かれしていきます。
- マーケティング
- コンサルティング
- 個人向けの信用調査
上記の中で、マーケティングとコンサルティングで成功した会社の多くは社名変更したのに対して、個人向けの信用調査へ領域を広げた所は「興信所」の名称を残した運営を続けました。
個人向けの信用調査・身辺調査は探偵が行うものでしたが、戦後は探偵よりも興信所の方が信頼性の高い大手が多い世間的なイメージが根付いていました。
そして、個人向け調査を行う興信所は、昔ながらの名称を残して現在に至る流れです。
また、名称にブランド力のある理由で、当初から個人向け調査を行う事業の立ち上げで「興信所」の看板を掲げている事例も散見されます。
結果的に、現代では興信所と探偵の業務領域はほぼ同じになりました。
興信所と探偵の看板の違いとは?
前述で紹介した通り、戦後になって興信所は探偵との違いに差がなくなってきました。
「興信所」の名称を使って運営している事業者は、ほぼ確実に個人向けの調査業務を行っていると思って問題ありません。
探偵と興信所で業務内容の違いがなくなったことで、一部では「探偵事務所/興信所」など2つの看板を出している業者も散見されます。
現在は、利用する業者選びで探偵・興信所の名称で選ぶ要素はなくなり、どちらも調査内容の大半は浮気・不倫調査になっています。
時代の変化とともにプライバシーの侵害を防止する法律が整備されるなどして、興信所を運営するための要件が厳しくなりました。
こうした時代の変化はあるものの、根本的な業務および調査方法には大きな変化はなく、張り込みなどを行って証拠写真に収める昔ながらの活動が中心です。
2018年の離婚件数は20.7万組(推計※)。全般的に昭和の時代より平成・令和の方が離婚件数自体は多く、浮気調査を中心に相応の市場規模を確保しています。
※参考元:厚生労働省 平成 30 年(2018)人口動態統計の年間推計
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei18/dl/2018suikei.pdf
※ 一部抜粋
興信所の依頼内容
興信所への依頼内容は約7割が浮気・不倫の調査、2割が人捜し、残りの1割がその他の依頼です。
その他の業務は以下のものがあります。
- 身辺調査
- 訴訟関連の証拠集め
- 素行調査
- 盗聴盗撮発見調査
- 犯罪被害の相談(ストーカーを立件する証拠確保など)
- 企業信用調査
- いじめ調査
- 嫌がらせの実態調査(誰が嫌がらせをしているかなど)
- 別れさせ屋など
興信所は、調査関連のことであれば何でも相談に乗ってくれます。
ただし、いつ問題の行為が起こるか分からないなど、長時間の張り込みが必要な依頼は料金が高額になってしまうので注意しましょう。
興信所の費用相場
興信所の費用相場はピンキリですが、多くのケースで相談までは無料対応、張り込みなど実際に行動を起こす調査をした場合は数十万円以上の費用がかかります。
おおよその目安は、調査等で人員を投入した際、費やした人員×時給8,000円が目安だと言われています。
成果を上げるまで調査を続けるように依頼した場合は、調査時間に応じて費用が膨れ上がってしまうので注意しましょう。
定額料金で対応している場合は、指定された日時に調査して結果が出なかった場合(スタッフのミスを含む)でも、返金等には応じてもらえません。
興信所は根強い人気がある
インターネットに関連したサービスが普及する中、昔ながらのアナログサービスである興信所は根強い人気を確保したサービスです。
昨今はメッセージや通話のやり取りでLINEを使う方が増えているほか、スマホの生体認証が普及したことで、独自に浮気の証拠を掴むことが困難になりました。
また、離婚して慰謝料請求する場合は、不貞行為をした証拠としてホテルや自宅へ出入りする証拠写真が必要です。
興信所は、他のネットサービスでは対処できない業務が多く、ネットの普及とともに需要が高まっている側面もあります。
当サイトでは、興信所を利用したい方や、働くことに興味がある方に役立つ情報を幅広く紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
また、当サイト以外にも興信所比較を行うサイトは数多く存在しております。
例えば以下のサイトでは興信所を費用や特徴別で紹介しており、より求める条件にマッチする事務所を見つけることが可能です。
▼参考URL(外部サイト)
興信所比較
浮気調査が得意、企業調査に特化している、料金は後払い(完全成果型)でOK等、興信所にはそれぞれカラーがありますので、是非とも多くの事務所をチェックしてみてください。